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【相談事例】死後に振り込まれた年金は遺産?

父が9月19日亡くなりました。

年金事務所に年金受給者死亡届を提出するのが遅れてしまい、10月15日になって、父の口座に年金が振り込まれてきました。

これは8月分、9月分の年金だから、父の遺産として遺産分割の対象としてよろしいでしょうか。

死後に振り込まれた年金は「未支給年金」として扱い、遺産とはなりません。

年金支給は基本的に毎年2月、4月、6月、8月、10月、12月の偶数月に、前月と前々月の分が支給されます。

今回のケースでいうと、8月分と9月分の年金が、10月15日に振り込まれたわけです。

 

「未支給年金」とは、亡くなった年金受給者がまだ支給を受けていない年金のことです。

本来、年金受給者が亡くなった場合、年金の受給を停止する手続きを遺族が行います。その際に死亡届と同時に「未支給年金・保険給付請求書」を提出し、未払い金を受け取る手続きをします。

今回のケースでは未支給年金がたまたま支給されてしまっただけなので、あくまで未支給年金として取り扱います。

 

この未支給年金は、請求できる人が法律(年金法)で決まっています。亡くなった年金受給者と生計を同じくしていた者で、次の順位で受給する方が決まります。

①配偶者 ②子 ③父母 ④孫 ⑤祖父母 ⑥兄弟姉妹 ⑦①~⑥以外の3親等内の親族

 

未支給年金は年金受給者が生きていた月の年金を受給するので、相続財産なのではと考えられますが、年金法では相続とは関係なく、独自の立場で未支給年金の受給権者を定めています。判例(最高裁平成7年11月7日判決)においても、未支給年金は相続財産(遺産)ではないとの見解が出ています。

 

結論として、死後に振り込まれた年金(未支給年金)は、相続財産(遺産)ではないため、遺産分割の対象ともなりません。

受給資格のある遺族から未支給年金の請求手続きがなされなければ、死後に振り込まれた年金は不当利得として返納する必要があります。

相続放棄との関係

それでは、相続放棄をした場合、未支給年金は受け取れなくなるのか?

上記の通り、判例は「未支給年金は相続財産ではない」という見解に立っているため、相続放棄をしても未支給年金を受け取ることは可能です。

また、未支給年金を受給した後でも、相続放棄をすることは可能です。

 


参考判例

  • 国民年金法19条1項は、「年金給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給しなかったものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、祖父母又は兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の年金の支給を請求することができる。」と定め、同条5項は、「未支給の年金を受けるべき者の順位は、第一項に規定する順序による。」と定めている。右の規定は、相続とは別の立場から一定の遺族に対して未支給の年金給付の支給を認めたものであり、死亡した受給権者が有していた右年金給付に係る請求権が同条の規定を離れて別途相続の対象となるものではないことは明らかである。(最高裁平成7年11月7日判決)

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