相続登記の際に、思わぬ抵当権が発覚することがございます。
明治・大正・昭和初期に設定された古い抵当権で、現在まで抹消されることなく残存してしまっているものを、いわゆる「休眠担保権」と呼んでおります。休眠担保権を抹消するには、いくつか方法がございます。
今回は、少し変わった方法で解決することができましたので、備忘としてブログに記載します。
競落により取得した不動産
本件では、明治時代に設定された抵当権が残ったままの状態でした。
登記記録をさらに読み進めると、もともとは競落により取得した不動産であることがわかりました。担保権を実行し、競売にかけられたにもかかわらず、担保権が残ったままだったのです。
調べてみると、裁判所に抵当権抹消の嘱託の申立てをすればよいことが分かり、早速手続きを進めました。
※競落により不動産を買い受ける場合、買受人が代金を納付すると、裁判所書記官は、次に掲げる登記及び登記の抹消を法務局に嘱託します(民事執行法82条1項)。
①買受人の取得した権利(所有権)の移転登記
②売却により消滅した権利(抵当権等の担保物件)等の登記の抹消
③差押え又は仮差押えの登記の抹消
申立必要書類(水戸地方裁判所)
裁判所に提出した書類は次の通りです(なお、本件は水戸地方裁判所です。)。
・登記抹消申立書
・不動産登記事項証明書(登記簿)
・申立人の住民票
・収入印紙 1物件につき千円
・郵便切手
・1048円(529円+519円)
・書類作成者の連絡先
登記完了後の記載
裁判所の嘱託により、「任意競売申立登記」「抵当権登記」が抹消されました。
登記記録は以下の通りです。