令和5年4月1日以降、売買契約の日から10年が経過している買戻特約登記は、登記権利者が単独で抹消登記ができるようになりました(不動産登記法69条の2)。
先日、上記法改正により、単独で抹消登記を申請し、無事に登記が終わりましたため、備忘もかねて記載します。
買戻特約とは
買戻特約とは、売買契約の際につける特約であり、一定期間、売主が代金額及び契約の費用を買主に返還することによって売買契約を解除し、目的物を取り戻すことができるというものです(民法579条)。買戻期間は最長10年であり、10年経過すると権利が消滅します。この特約は、主に転売防止の目的で非常に多く利用されました。
前述の通り、買戻特約は最長10年で権利が消滅するのですが、その抹消登記がなされないまま放置され、売買や相続登記の際に、その存在が発覚することも多々ございます。
法改正前は、買戻特約を抹消するには、登記権利者(所有者)と登記義務者(買戻権者=販売会社など)の共同申請が必要であり、当時の売主に連絡をし、登記書類を発行してもらっていました。難しいケースとしては、当時の売主にあたる販売会社が解散していたケースもあり、さらに手続きに支障を生じることもございました。
これが法改正により、登記権利者(不動産所有者)の単独申請により、抹消登記が可能となりました。登記義務者についての要件も特にないため、とても利用しやすい法改正だと思います。
抹消登記申請について
・登記申請書の記載
登記原因日付は不要。登記原因は「不動産登記法第69条の2の規定による抹消」。
・添付書類
委任状のみ。
・登記完了後の処理
登記官は、当該登記の登記名義人であった者に対し、登記が完了した旨を通知しなければならない(不動産登記規則183条)。この通知は、当該登記の登記名義人であった者の、「登記記録上の住所」に充てて通知書を発送するものとする。